デジタルトランスフォーメーションがもたらすメリット

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタルテクノロジーをあらゆる事業分野で活用する取り組みです。顧客体験から運営まで、社内外の業務を変革し、企業の成長をめざします。2021年に世界中の企業がDXの取り組みに費やした費用は約1兆6,000億ドルに達しており、年々増大すると予測されています。最新のデジタルソフトウェアを採用することで、競争力と柔軟性を維持できます。

DXへの取り組みは、ビジネスに多くのメリットをもたらします。デジタル化を推進する企業は、現代の顧客の要求に的確に応え、優れた顧客体験を提供します。また、高度なテクノロジーによって手作業や人的ミスが低減し、業務プロセスが変わります。生産効率が向上し、顧客との関係が強化され、市場のニーズへの迅速な対応が可能になります。

DXがもたらす主なメリットは次のとおりです。

 

1. コラボレーションの促進

チームのコラボレーション能力は成功に不可欠な役割を果たします。チームワークは問題解決、適応性、エンゲージメントレベルを向上させます。古いツールやプロセスでは、特に人間関係の形成が難しいリモートワーク環境では、コラボレーションの機会が制限される可能性があります。

DXはコミュニケーションとコラボレーションを容易にします。デジタルプラットフォームとクラウド機能により、各部門のチームメンバーが、離れた場所にいても簡単につながることができます。クラウドを介した共有により、手作業での文書を編集やメールでのやり取りなど、時間のかかるプロセスを減らすことができます。

 

クラウドベースのプラットフォームで 組織全体のコラボレーションを促進

 

デジタルテクノロジーは、高度なコミュニケーションなどの機能や手段を提供します。例えば、社内のクラウドベースのカレンダーでは、チームメンバーが同僚の空き状況やリアルタイムのステータスを確認できるため、メールでのやり取りをせずにミーティングの予約や締め切りの設定が可能になります。あらゆる部署の関係者が重要な日程を確認したり、会議のメモや関連ファイルにアクセスしたり、といったことが容易にできるようになります。

改善のニーズにあうテクノロジーソリューションを採用することが重要です。例えば、チームミーティングの参加率を高めたいとします。動画やチャット機能を搭載した新しいソフトウェアに投資して、チームメンバーの参加を増やすとよいでしょう。コミュニケーションを容易にすることで、より強力なチーム環境を育み、従業員の満足度を高めることができます。

 

2. データを収集し、新たなインサイトを得る

DXのメリットには、高度なデータ追跡へのアクセスが含まれます。例えば、デジタルツールを利用することで、多くのチャネルの顧客情報を追跡できます。従来の手作業によるワークフローでは、この種の情報を収集するには、サイロ化された複数のプラットフォームからデータを収集する必要があり、情報の迅速な評価が困難なケースがありました。また、レガシーシステムは、不正確なデータや役に立たないデータを提供しがちです。

高度なテクノロジーにより、包括的なデータ収集と一元的な保存が可能になります。顧客の行動や認識に関する詳細な情報を収集すればするほど、マーケティングアプローチをより適切に調整できるようになります。データ主導のインサイトによって広告パフォーマンスを調整したり、顧客とのコミュニケーションを改善したり、顧客体験を向上させるなどの措置を講じることができます。

DXにより、ビジネスのマーケティング活動の評価が容易になります。Eメールやソーシャルメディアへの投稿など、さまざまなチャネルで顧客エンゲージメントを追跡し、ソーシャルメディアに対する顧客の反応を把握しやすくなり、また、マーケティングメッセージが購買行動にどのような影響を与えたかの分析もできます。顧客をより深く理解することで、顧客の関心やパターンに的確に訴求するコンテンツを作りやすくなります。このように、データ主導のインサイトを活用することで、組織を前進させることができます。

 

3. プロセスと業務の合理化

デジタルを活用することで、手作業をなくし、日々の業務を効率化できます。自動化ツールが、ワークフローを加速し、チームの生産性を高めます。データの入力、リマインダーの送信、データの転送などの手作業は、時間を要し、繰り返しが多くなります。これらのタスクを自動的に完了させる高度なテクノロジーを導入することで、チームはより優先度の高いタスクに集中できます。

DXは、テクノロジーを基盤とした環境を整備し、あらゆる面で効率を向上させます。以下のような作業を自動化できます。

  • 移行:契約のレビューを適切な部署に回す
  • 合理化:請求書のレビュー・承認を合理化する
  • 簡素化:入社手続きをシンプルにする
  • 承認:休暇申請を承認する

 

DX を推進し 契約書・請求書のレビューや承認などの タスクを自動化

 

テクノロジーはアクセス性を高め、ワークフローをより包括的なものにします。チームメンバーは、場所や時間を問わず、ドキュメントや割り当てられたタスクを閲覧できます。制限なく、迅速な更新や質問ができます。また、デジタル化戦略によってハイブリッドワークやリモートワークににも対応しやすくなり、従業員全員がそれぞれのニーズに最適な環境で柔軟に業務を遂行できます。

また、デジタルソリューションを活用することで、顧客とのつながりを容易にし、手作業によるコミュニケーション手段への依存を軽減できます。例えば、Webサイトやアプリにチャットボット機能を導入することが考えられます。自動化されたボットが自動的に質問を受け付け、訪問者を適切なページに誘導するため、手作業が不要になります。プラットフォームが使いやすければ使いやすいほど、顧客が貴社のブランドへの関心を維持する可能性が高まります。

 

4. ヒューマンエラーのリスクを低減

手作業や紙ベースのシステムには、ヒューマンエラーのリスクがあります。表計算ソフトに数字を1つずつ入力するにしても、書類を対応するフォルダにファイリングするにしても、これらの作業は完全に人間の正確さに依存しています。数字の打ち間違いや書類の置き忘れは、大きな混乱やさらなるミスにつながるおそれがあります。2022年のデータ漏えいの82%は、人為的なミスや行為によるものでした。

DXにコミットすることで、多くの面でヒューマンエラーのリスクを低減できます。

  • 自動化された機能により、データをさまざまな場所に即座に転送し、手作業によるミスの可能性を排除
  • データの自動共有により、更新された情報をチームメンバー全員がリアルタイムで閲覧
  • 契約書の承認や署名の依頼などの手続きを迅速化し、書類を正しい場所に確実に転送

デジタルテクノロジーによって、チームの他の分野の生産性向上にもつながります。手動でのプロセスに時間をかけるのではなく、クリティカルシンキング、創造性、革新性、ヒューマンタッチを必要とする業務に注力できます。

 

5. 資源管理の改善

リソース管理の強化にDXは欠かせません。日々の業務は、多くのリソースに依存しています。顧客への対応、支払い手続き、チームメンバーのデータ、商品開発など、さまざまなツールが利用されます。企業は適切な人材と予算を割り当て、業務を円滑に進めています。しかし、これらのツールが異なるプラットフォームに分散していると、データの同期が困難になります。また、部門ごとのニーズによってリソースが異なるため、さらに混乱が生じます。

DXでは、リソースを一元化することで、異なるアプリケーション間の重複を減らし、個々のアプリケーションから包括的なデータベースに至るまで、会社の全ての機能の中央リポジトリを作成します。全てが一箇所に集約されることで、ファイルへのアクセス、コンテンツの共有が容易になり、営業から人事まで全てのチームのデータフローとアクセス性が向上します。

一元化されたデジタルリポジトリが コンテンツのアクセスと共有を容易にする

 

また、統合プロセスでは、必要なアプリケーションを選択し、使用されていないツールを削除することで、企業のニーズを正確に満たす革新的なソリューションを開発することができます。統合された構成は、ビジネス機能のあらゆる側面で効率性とアクセス性を支援します。

 

6. コンプライアンスの徹底

コンプライアンスは、世界中の企業にとっての重要事項です。規制によって、温室効果ガスの排出削減、顧客データの保護、品質基準の遵守、その他業界特有の要件に従うことが求められる場合があります。これらのセキュリティ基準や環境基準は、顧客、従業員、環境を保護するのが主な目的です。コンプライアンス戦略の管理は、特に手作業のプロセスに基づいている場合には、多大な労力が必要となります。

デジタル化により、コンプライアンス手順を変革できます。デジタルソフトウェアは、ファイルのチェックやセキュリティ活動の監視などのコンプライアンス業務を合理化します。高度なテクノロジーにより、承認されたフレームワークにコンテンツを整理することができるため、これらの手順における混乱やミスを減らすことができます。また、報告プロセスを支援し、必要なクライアントやチームメンバーに情報を自動的にルーティングします。

例えば、コンプライアンスデータのログを徹底的に監視するソフトウェアに投資するとします。システムは定期的に自動セキュリティ監査を実施し、データが常に正確で適切に文書化されていることを確認します。システムが欠陥を検知した場合にはアラートが表示され、問題の解決や対策に役立ちます。コンプライアンスプロセスを手作業で追跡する代わりに、高度なテクノロジーでプロセスを完了させることで、安心感が得られます。

 

7. ユーザー体験の向上

優れた顧客体験を提供することは、競合に差をつけ、顧客に最も価値のあるソリューションを提供したいと考える多くの企業にとっての優先事項です。消費者がデジタルの選択肢に慣れるにつれ、迅速な配達、低価格、多様な購入オプションを求めるようになりました。競争力を維持するためには、これまでの標準的なやり方を超える、現在のトレンドにマッチしたセレクションを提供する必要があります。

DXは、多くの場合に、顧客体験を向上させ、満足度と継続率を高めます。新しいデジタルコミュニケーション手段を導入することで、より強いつながりが生まれます。容易に使える購入オプションでWebサイトの商品ページを刷新することで、エキサイティングで直感的な消費者のショッピング体験を提供できます。自動化ツールと人工知能(AI)を統合することで、シームレスな顧客インターフェースを構築します。これらは、デジタルテクノロジーでビジネスを変革する方法のほんの一部です。

高度なテクノロジーソリューションにより、カスタマイズされたプライバシーの管理や、顧客一人ひとりの快適レベルにあったデータ収集オプションを選択できる機能など、顧客に提供するサービスやサポートをカスタマイズできます。プライバシーのカスタマイズが可能で、視覚的に魅力的な、テクノロジーを活用した質の高い体験を提供する製品ページを提供することで、顧客が戻る可能性が高まります。

デジタル変革はWebサイトだけの問題ではありません。DXには、モバイルフレンドリーなアプリやソーシャルメディアのページなど、顧客にシームレスなマルチチャネルのショッピング体験を提供する他のデジタルプラットフォームの立ち上げも含まれることがよくあります。顧客が最適な方法で商品を見たり購入したりできるように、チャネルをまたいで在庫をリアルタイムで同期させるには、DXが欠かせません。

 

8. 実践的なデジタル文化の醸成

デジタルテクノロジーとインターネットは、私たちの交流や意思決定の方法を劇的に変えました。グローバル市場が完全なデジタル化に向かうなか、企業は戦略を適応させなければなりません。

DXによって、企業全体のデジタル文化が形成されます。適切なツールとトレーニングを提供することで、チームメンバーのスムーズな移行が可能になります。

デジタル文化が 組織のイノベーションを促進させる

 

デジタルカルチャーはイノベーションを促進させます。チームメンバーがデジタルベースの世界で活躍できるよう、充実した内容のトレーニングや補助教材で準備を整えることで、スムーズな移行が可能になります。従業員のデジタルプラットフォームへの移行が早ければ早いほど、企業はデジタルシフトのメリットを享受やすくなり、リスクの回避にもつながります。

デジタル文化は実践的なものでなければなりません。顧客の嗜好や購買行動は急速に変化するため、柔軟性が重要になります。テクノロジーを常に把握し、チームメンバーが対応できるようにすることで、組織は顧客のニーズにより適切に応えることができます。本質的にデジタルな企業文化は、新しいテクノロジーの活用と将来の成長への備えとなります。

 

9. 充実したチーム環境の構築

DXは、チームメンバーにとってより魅力的で有益な職場環境を可能にします。徹底した指導とトレーニング教材の提供は、彼らの自己成長への投資となります。デジタル化への世界的なシフトには、テクノロジーに精通した人材が必要です。彼らは技術的な用語を理解し、デジタル環境での業務の進め方を知り、新しいアプリケーションに直面しても適応し続けなければなりません。DXへの取り組みにより、チームメンバーはこれらの要件を全て満たすことができるようになり、デジタルワークプレイスでの成功が可能になります。

チーム開発に対するコミットメントは、満足度の高い職場の雰囲気も育みます。新しいテクノロジーに圧倒されたり、落胆したりする代わりに、チームはそのプロセスを通じてサポートされていると感じることができます。トレーニング教材のほかにも、Webセミナーを開催したり、カンファレンスに参加したり、追加トレーニングコースを提供したりすることもできます。チームメンバーは、新しい挑戦や機会にワクワクします。仕事にやりがいを感じれば感じるほど、自分の責任に熱心に取り組むようになります。

これらの戦略は全て、チームメンバーが技術的スキルを身につけるのに役立ちます。従業員が成長すればするほど、チームとデジタル世界にとってより貴重な存在となります。

自動化ツールは、従業員にとってもうひとつの直接的なメリット、すなわち仕事量の削減を可能にします。時間のかかる業務を減らすことで、燃え尽き症候群を回避し、従業員は製品開発や顧客とのコミュニケーションなど、より充実した業務に取り組むことができます。満足度の向上は、日々の業務に不可欠な定着率にも貢献します。

 

10. 俊敏性と革新性の向上

DXには俊敏性が欠かせません。新たなソフトウェアの登場や市場の変化によって、戦略の見直しが必要になる場合があります。ほんの数年前と比べて、テクノロジーは大きく進化しています。

DXは、試行錯誤を重ねた1つのビジネスモデルを使用するのではなく、無限の戦略的可能性を生み出し、市場やその他の要因の変化に応じてITチームや企業がさまざまな手段にピボットできるようにする必要があります。先進的なソリューションにより、チームメンバーとのコミュニケーションが容易になり、懸念事項や計画を関係者全員で共有することができます。

最大のポイントは、デジタルを活用することで、ビジネスの俊敏性が向上し、トレンドや文化的な変化を予測して継続的な改善に集中できるようになることです。デジタルツールは、顧客の行動や認識を分析するのに役立ちます。これらのツールを使って、ビジネス構造を適応させ、広告キャンペーンを調整し、新製品を開発します。使いこなせば使いこなすほど、競合との差別化が図れます。デジタルの世界で成功するためにチームを準備し、あらゆる段階でイノベーションを促進させることが重要です。

 

11. 運用コストの削減と収益の拡大

DXを導入することで、組織のコストを削減し、利益を得ることができます。ワークフローの効率化、コラボレーションの強化、その他上記のメリットは全て、コスト削減につながります。

DXがビジネスにもたらす財務面のメリットの一部をご紹介します。

  • クラウドベースのストレージ:オンプレミスのサービスをクラウドベースのストレージに置き換えることで、社内のITコスト、ストレージコスト、保守コストを削減できる。
  • リモートワーク:DXを活用してハイブリッドまたはリモートのワークフォースを実現することで、物理的なオフィスを縮小できる。
  • 離職率の低減:DXは、従業員の離職率低下に役立つ。米国企業では現在、自主的な離職が約1兆ドルの損失をもたらしており、従業員を雇用し続けることで大幅なコスト削減が見込める。

コスト削減効果に加えて、テクノロジーによって組織運営を変革することで、収益の拡大も可能になります。DXによるメリットの多くは、顧客体験の向上につながります。新規顧客の獲得においても、既存の顧客への商品やサービスの販売においても、より多くの収益を生み出すことになります。

 

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