文書管理システムが必要な理由とは?

 

プロジェクトの提案書、技術文書、人事記録、研修資料、マーケティング資料など、企業活動では多種多様な文書が扱われます。

 

あらゆるビジネスがコンテンツを中心に動いています。全ての文書を管理するのは容易なことではありません。企業の規模にかかわらず、全ての文書を適切に管理するには何らかの手段が必要です。

 

クラウドベースの文書管理システムを利用することで、業務の簡素化とコラボレーションの促進、透明性の向上が図れます。以下に詳しく説明します。

 

文書管理における課題

一定のプロセスがなければ、企業の文書管理は煩雑な手作業になりがちです。重要なファイルの紛失やネットワークドライブの容量不足などの問題が発生します。ファイルや情報を探すのに数時間を要するといった事態も珍しくありません。

 

企業が抱える文書管理の課題には、次のようなものがあります。

  • 業務のサイロ化:各部署や個人が別々のシステムで文書の保存・管理を行っていると、共有が困難になる。
  • 未整理のネットワークドライブ:適切な文書管理システムが確立されていないと、ドライブがすぐに満杯になり、運用が困難になる。
  • シャドーIT:現行のストレージシステムに不満のあるチームメンバーや部署が、IT部門が承認していないソフトウェアを使用し、セキュリティやコンプライアンス上の問題が生じる。
  • 未整理のデータベース:データベースが整理されていないと情報の紛失や欠損が発生し、生産効率の低下とリスクの増大につながる。
適切な文書管理システムが導入されていないと、サイロ化したデータ、未整理のドライブやデータベース、シャドー IT などの問題が生じる

これらは、大量の情報を扱わない企業では重大な問題にならないかもしれません。しかし、そのような企業はほとんど存在しません。

 

企業では、日々膨大な量のデータが生み出されます。しかし、保存されるのはほんの一部です。重大な問題を未然に防ぐには、必要なものの保存と不要なものの削除を確実に行う手段が不可欠です。

 

盤石な文書管理システムを持つことは、組織の可能性の最大化につながります。文書管理システムとはどのようなものでしょうか?また、最適なシステムを選ぶにはどうすればよいでしょうか?

 

文書管理システムとは?

文書管理システム(DMS: document management system)とは、作成から保管まで、コンテンツのライフサイクル全体を管理するためのデジタルシステムです。必要な情報を組織全体で共有するための枠組みとなり、ワークフローの合理化と生産効率の向上につながります。

 

組織のニーズにあわせて、オンプレミスのDMS、またはクラウドベースのDMSを選択します。オンプレミスのDMSは、全ての文書を社内(ローカル)のサーバーに保存して管理します。ローカルに保存することでレイテンシーを大幅に短縮できる一方で、初期コストが高く、ストレージスペースにも限りがあります。

 

クラウドベースのDMSでは、ドキュメントを外部のクラウドサーバーに保存し、インターネット経由で管理します。この仕組みによってコスト削減と拡張が可能になり、企業の成長によるニーズの変化に対応する俊敏性が得られます。

 

文書管理システムとクラウドストレージの違い

クラウド初心者には、文書管理とクラウドストレージソリューションの明確な区別は難しいかもしれません。両方ともクラウド機能を備えていることが共通点である一方で、大きく異なる点があります。

DMS は、文書ファイルに付加価値をつけて保管。クラウドストレージは、ファイルをオフプレミスで保管するのみ。

クラウドストレージシステムは、単にコンテンツを安全な場所に保存するためのシステムであり、一般的には、個人利用を念頭に構築されたコンシューマ向けアプリケーションです。例えば、スマートフォンの空き容量を増やすために、旅行の写真をクラウドドライブに転送するというような使い方ができます。

 

DMSは、クラウドに文書を保存するだけでなく、さらに多くの機能を備えています。例えば、文書ファイルに付加価値をつけるための次のようなツールが統合されています。

  • 文書とデータのキャプチャ
  • セキュアなファイル共有
  • ワークフローの自動化
  • バージョン管理
  • 電子サイン

 

これらの機能が提供されているクラウドベースのDMSは、業界を問わず、あらゆる規模の企業を支援する強力なプラットフォームとなります。

 

文書管理システムを選ぶときのポイント

DMSシステムはどれも同じというわけではありません。DMSシステムを検討する際には、次の機能について詳しく評価することが重要です。

 

一元管理

優れたDMSは、Word文書、PDF、動画、音声ファイルなど、あらゆるコンテンツの一元管理を可能にする堅牢なリポジトリを提供します。このリポジトリは、組織全体にとっての単一の情報源となり、従業員は常に正確で最新の情報を使用して業務を遂行できます。

 

一元的なクラウドリポジトリには、上記の他に次のような利点があります。

  • アクセスのしやすさ:アクセスポイントが1つであるため、文書が容易に見つかる(サイロ化された環境では、時間と手間を要する)。
  • コラボレーションの促進:関係者全員が、文書のアクセス、編集、送信を一か所で行える。
  • セキュリティの向上:一元管理により、情報の保護が容易になる(特定の個人へのアクセス権の付与・拒否、特定の文書の編集ロック、社外秘の文書に対する高度な保護の追加など)。

 

複数のソースからリポジトリにアップロードできるシステムを選択することで、情報のフローがさらにシームレスになります。

 

大容量のストレージ

従来のオンプレミスのストレージインフラでは、重要な文書を保存するための十分な容量を確保できません。容量が不足すると、新たなストレージ機器を購入しなければならず、購入した機器の大半が、長い間未使用のまま放置されます。企業の成長にあわせて容易に容量を追加できるよう、拡張性の高いクラウドベースのDMSソリューションを選ぶことが重要です。

 

高速なアップロード

一度に複数のファイルを高速にアップロードできる DMS を選択することが重要

従来型システムへのアップロードは、操作手順が面倒で時間もかかります。優れたDMSでは、アップロードプロセスが簡素化されています。自身のドライブやデスクトップからアップロードしたいファイルを選択し、ブラウザにドラッグアンドドロップするだけです。一度に複数のファイルを簡単・速やかにアップロードできるため、生産効率がアップします。

 

セキュアなファイル共有

企業活動においては、顧客やビジネスパートナーとの間で文書を共有する機会が多く発生します。社内でも、文書の共有は、業務の遂行のために欠かすことができません。充実したファイル共有機能を備えたDMSは、文書をセキュアな場所に集約して保存し、各関係者がアクセスできる時間を制限することで、情報が不適切に利用されるリスクを低減します。優れたDMSでは、誰がいつファイルにアクセスしたのかを追跡できるため、組織の透明性が高まります。 

 

コラボレーションツール

効果的なコラボレーションは、業務効率を高め、企業文化を醸成します。複数が同時に、同一文書をリアルタイムで編集できるDMSソリューションを選ぶことが重要です。このようなコラボレーション機能を活用することで、メールの添付ファイルによって互いに何度も編集結果をやり取りする必要がなくなり、情報の行き違いや無駄な手間が省けます。 

 

文書管理システムが必要な理由とは?

21世紀に入って20数年が経過したいま、デジタル化による効率化の必要性がますます高まっています。既にDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる企業もあれば、これからという企業もあるでしょう。いずれの場合でも、クラウドベースのDMSがデジタル化への取り組みを容易にします。以下に詳しく解説します。

 

アクセスのしやすさ

アクセスのしやすさは、DMSの最大の利点の1つです。DMSが情報のサイロ化を解消するため、特定の文書を求めて組織中を探し回る必要がなくなります。

 

先進的なDMSソリューションの多くは、スマート検索とAIによるアシスタント機能が備えており、かつてない容易さで情報を見つけることができます。これらのテクノロジーが文書をスキャンして情報を抽出するため、人間が複数のファイルを開いて確認する手間をかけずに、探している情報を引き出すことができます。

 

さらに、クラウドベースDMSでは、インターネットに接続されていれば、場所を問わず文書のアクセスと編集が可能です。オフィス、キッチンのテーブル、お気に入りのカフェなど、どこからログインしても、業務に必要な資料に速やかにアクセスできます。

 

生産効率の向上

ナレッジワーカー(知的労働者)の多くが、通常の勤務時間では、目標とする業務量を遂行できないと感じています。労働者が生産的な業務に費やしている時間は、平均して1日の労働時間の53.3%に過ぎません。では、何に時間を奪われているのでしょうか?

 

調査によれば、労働者は、1週間のうち少なくとも25%を、業務に必要なリソースを探すために費やしています。DMSを導入することで、必要な文書へのアクセスが容易になり、業務に集中できるようになります。

 

セキュリティの改善

組織の重要な秘密情報に誰でもアクセスできる状態にしておくことはできません。データ漏えいによる平均コストは2013年以降着実に上昇しており、GDPRやHIPAAなどの主要なサイバーセキュリティ規制に対する違反には罰金が課せられます。

 

DMSを導入することで、データ漏えいのリスクを軽減できます。DMS管理者は、秘密情報へのアクセスを制御(許可または拒否)し、不正なアクセスを防止します。また、チェックイン/チェックアウト機能によって文書へのアクセスを監視し、誰が、いつ、どの情報を閲覧したかを把握できます。

 

さらに、クラウドベースのDMSシステムの多くが自動バックアップをサポートし、障害発生時のリカバリを容易にしています。

 

文書ファイルの整理

企業の成長に伴い、作成される文書の数も増加します。全てのファイルを保存する一元的なリポジトリがないと、情報のサイロ化が進み、重要な文書を紛失するリスクが生じます。

 

DMSは、容易にアクセスできる1つの場所に全ての文書ファイルを集約するため、論理的なスキームによるファイルの整理がしやすくなります。また、文書ファイルの命名規則やタグ付け、レーティングなどの分類機能により、ファイル検索の効率が大幅に向上します。

 

物理的・デジタル的なストレージ容量の確保

ドライブに大量の文書を保存すると性能が低下し、業務の遂行に支障が出る場合があります。文書をDMSに移行することで容量に余裕ができるため、業務の効率化が図れます。

 

紙ベースの文書についても同様のことがいえます。紙ベースの文書を扱う企業は、ファイル管理がいかに面倒な作業かを知っているはずです。DMSの導入によって物理的なストレージへの依存度が下がり、限りのあるスペースを占有するファイルキャビネットを撤去することができます。さらに、紙への印刷を減らすことで、コスト削減とサステナビリティにもつながります。

 

リアルタイムの更新とフィードバック

文書やスプレッドシートをローカルに保管する従来の方法では、知識やフィードバックの共有が困難です。コメント機能や変更履歴の追跡機能があっても、全員が同じ情報を共有していることを常に確実にするのは容易ではありません。

 

クラウドベースのDMSでは、複数の人が同時に同じ文書を編集できるため、コミュニケーションを効率化し、重複作業のリスクを軽減できます。関係者の誰もが編集できること、他のメンバーの編集を即座に確認できることで、短い時間でより多くの業務の遂行が可能になります。

 

異なるタイムゾーンの従業員同士のコラボレーションのように非同期な条件下では、コメント機能が欠かせません。地理的に分散したチームを持つ企業は、各チームのニーズを考慮する必要があります。

 

編集・更新履歴の追跡

かつては、メールの添付ファイルを介して文書の共同編集を行っていました。しかし、今日の業務環境では、その方法は非現実的です。長いメールのやり取りの中では情報の把握が困難になり、ヒューマンエラーのリスクも高まります。

 

DMSの導入によって文書ファイルを一か所に集約することで、長々とやり取りする必要がなくなります。相手にアクセス権を付与するだけで、コラボレーションを開始できます。

 

常に最新バージョンの文書でコラボレーションを行うには、バージョン管理機能も欠かせません。誤りが見つかった場合に以前のバージョンに戻すロールバック機能も重要です。

 

コミュニケーションの活性化

アクセスしやすいクラウドベースの DMS は、コミュニケーションとコラボレーションを容易にする

明確なコミュニケーションは成功のカギとなります。DMSは、チームメンバーや顧客、ビジネスパートナーとのコラボレーションとコミュニケーションを容易にします。

 

クラウドベースのDMSでは、適切な受信者、時間、コミュニケーションチャンネルの設定により、文書の配布を自動化できます。文書を別のフォーマットに変換することも可能です。わずか数クリックの簡単な操作で、受信側のニーズを考慮したフォーマットに変換できるため、時間をかけずにさまざまなパートナーとの関係を良好に維持できます。

 

コンプライアンスへの取り組み

適切な管理スキームがなければ、業界や政府の規制に対するコンプライアンスの維持が困難になります。重大な文書が容易に流出し、セキュリティやコンプライアンスの重大問題に発展するおそれがあります。

 

監査証跡機能で文書のバージョンや編集履歴、関係者を追跡することで、企業が重要な基準に準拠していることを監査人に証明できます。

 

高度なDMSでは、特定のファイルに対するコンプライアンス機能を自動化することもできます。また、AIと機械学習が活用されており、あらゆる文書の分類と保護を容易にしています。

 

透明性の向上

透明性は、優れた文書管理の要素として最も重要な要素の1つです。しかし、過小評価されがちなのが実情です。透明性の高いシステムがなければ、情報の正確性の欠如、コンプライアンス違反、サイバーセキュリティ上の問題などのリスクが高まります。

 

優れたDMSは、組織全体の透明性を高めます。全ての文書が1か所に集約されているため、全員が同じ情報に基づいて業務を遂行できます。編集追跡機能によって、文書がどのように扱われたかを監視し、監査証跡によって、自社に適用される基準や規制に対するコンプライアンス状況を確認できます。

 

コンテンツクラウドがお役に立ちます

Boxのコンテンツクラウドを利用することで、あらゆるコンテンツを単一のセキュアなプラットフォームで管理できます。ファイルの作成、共同編集、共有、電子サイン、分類、保管など、コンテンツのライフサイクル全体の管理が可能です。また、社内外を問わず、誰とでも容易にコンテンツを共同制作できます。フリクションレスな(摩擦のない)、エンタープライズグレードのセキュリティとコンプライアンスは、Boxの根幹をなす概念です。お客さまのコンテンツは確実に保護されます。Boxは、1,500以上のアプリとのシームレスな統合に加えて、Box Signをはじめとするネイティブな機能を豊富に備えています。Boxのコンテンツクラウドは、各ユーザーが最適な環境で業務を遂行できるよう、単一のコンテンツレイヤーを提供します。

 

コンテンツクラウドは、お客さまの組織全体のゲームチェンジャーとなり、ワークフローを合理化し、全ての部門の生産効率を向上させます。Boxの導入に関するご相談・お問い合わせを承っております。こちらのページからお気軽にご連絡ください。

 

**Boxは、高度なプライバシー、セキュリティ、コンプライアンスを備えた製品とサービスの提供に尽力しています。ただし、このブログ記事で提供される情報に関しては、法的助言を提供することを意図しておりません。適用される法律の遵守を検証する際には、見込み顧客および既存顧客が自らデューデリジェンスを実施することを推奨します。

 

コンテンツクラウドが文書管理の課題を解決