クラウド移行とは?

クラウド移行とは、サーバー、ストレージ、アプリケーション、データなど組織のデジタル資産を、従来のオンプレミスシステムからクラウドベースの環境へ移行するプロセスです。企業の規模の大小にかかわらず、増大するワークロードに対応し、DXの取り組みを推進するためには、クラウド移行が必要です。

クラウドへの移行は、単にフォルダ間で文書を移動させるよりも複雑です。ニーズに応じてコンテンツを確実に利用できるようにするには、資産の再構成やシステム/ワークフローの調整が必要になります。

クラウド移行に必要な要素と、円滑な移行を実現する方法について以下に解説します。

主なポイント:

  • クラウド移行とは、組織のデジタル資産(サーバー、アプリケーション、データなど)をオンプレミスシステムからクラウドインフラへ移行するプロセス
  • クラウド移行には、スケーラビリティ、コスト効率、データの相互運用性、セキュリティの強化など、多くのメリットがある
  • オンプレミスからクラウドへの移行は、データ転送を慎重に計画し、移行を円滑かつ容易にする適切なツールを選択することで、最も効果を発揮する
  • Box Shuttleは、従来型システムからクラウドへのシームレスな移行を可能にするプラットフォームを提供する(カスタマイズ可能な設定、セキュアな統合、オンプレミスとクラウドの両方のツールを装備)

 

クラウドベースの移行について知っておくべきこと

企業は従来から、ネットワークファイル共有、エンタープライズファイル同期・共有(EFSS)ツール、従来型のエンタープライズコンテンツ管理(ECM)システムなど、さまざまな物理空間およびデジタル空間でデータを保管してきました。

クラウド移行の定義

このような断片化は、情報へのアクセスやセキュリティの確保を困難にします。クラウド上でコンテンツのライフサイクルを管理することで、契約書や合意書などのファイルを、インターネット接続があればいつでもどこからでもアクセス可能に保つことができます。

クラウド移行に関する基本的な項目をご紹介します。

  • クラウドベースの移行:クラウドベースの移行は、社内外のステークホルダーとの新たなコラボレーションの機会を創出します。これにより、業務の迅速化と効率化が可能になります。
  • コンテンツの移行コンテンツの移行(分散したファイルを一元化する作業)は、利用するクラウド移行サービスやデータ量によっては時間を要する場合があります。
  • クラウドへの移行による業務の最適化:重複ファイルの削除やITプロセスの再構築を通じて業務を最適化します。移行を効果的にするための重要なポイントです。

クラウドの導入が初めてという方は、こちらの記事で解説する8つのヒントをご覧ください。

 

クラウド移行の理由

クラウドサービスへの移行は広く普及しているビジネス戦略です。Flexeraの「2025年クラウド状況レポート」によると、現在、大企業・中小企業のワークロードの55%がパブリッククラウド上で実行されています。 

DXにおけるクラウドの役割は、企業が従来型システムを放棄する理由の1つです。クラウドベースのプラットフォームでは、ニーズに応じてスケールアップまたはスケールダウンが可能で、高コストなオンプレミスのインフラを維持する代わりに、使用した分だけ支払う従量課金制が適用されます。このような柔軟性は優位性をもたらし、市場の変化への迅速な対応を可能にします。

Flexera の 2025 年版「クラウドの現状レポート」によると、大企業・中小企業のワークロードの 55%が パブリッククラウド上で実行されている。

ビジネスのクラウド移行を加速させるもう1つの要因が、エンタープライズAIの導入です。 

従来型システムは、AIを活用するワークフローに対する最適な対応が困難です。クラウドソリューションは、リアルタイムのインサイトと自動化を提供し、プロセスを簡素化します。これにより、文書、メディアファイル、その他の構造化されていない形式の情報を含む非構造化データから、最大限の価値を引き出せるようになります。

成功するエンタープライズAI戦略を構築するための重要な手順については、こちらの記事をご覧ください。
 

クラウド移行のメリット

クラウド移行は、特に中小企業をはじめとする多くの組織に大きな価値をもたらします。事業の運営におけるメリットについて以下に解説します。

クラウド移行のメリット

1. スケーラビリティ

中小企業にとってクラウド移行が魅力的な理由の1つは、成長を支える点にあります。スケーラブルなクラウドデータストレージを提供し、高コストなオンプレミスサーバーの新規導入を不要にします。 

クラウドのストレージ容量は柔軟性が高く、例えばオンラインセール時のトラフィックの急増や、新たな事業拠点の立ち上げなど、増加する需要にも容易に対応します。

 

2. コスト効率

BoxがスポンサーとなったForresterの調査によると、クラウド移行を実施した企業は、生産性の向上により1,450万ドルのコスト削減を実現しています。クラウドベースのシステムはITインフラを簡素化し、複雑なツールの保守に費やす時間を削減します。

クラウド移行のもう1つのメリットは、データライフサイクル管理のコストを資本的支出(CAPEX)から経常的支出(OPEX)に転換できることです。成長企業にとって管理しやすいモデルです。

 

3. データの相互運用性

クラウド移行サービスはデータの相互運用性も実現します。これにより、手動による介入や大規模な再フォーマットを必要とせず、ツール間や部門間での情報の移動が可能になります。

データがクラウド上にある場合は、組み込みのセキュリティ機能により、従業員は自宅やスマートフォンから即座に業務を開始できます。企業ネットワーク外からでもコンテンツへのアクセスが可能です。

リモートワークを実現するベストプラクティスに関するガイドは、こちらをご覧ください。

 

4. セキュリティの強化

クラウドセキュリティに関しては、サービスプロバイダが最新の脅威や技術動向に対応し、更新・修正を自動的に実施します。ITチームによる実装は不要です。

利便性と高速性を兼ね備えたクラウドプログラムのもう1つのメリットは、シャドーITの排除です。承認されていないツールによるセキュリティギャップのリスクが軽減されます。

 

5. インフラ性能の向上

ITの専門家がクラウドサーバーを最適化し、効果的なデータ管理を可能にします。例えば、ユーザーエクスペリエンス向上のため、検索拡張生成(RAG)などの最先端技術が利用されます。ユーザーによる追加のメンテナンスを必要とせず、インフラの性能が大幅に高まります。

 

6. イノベーションの加速

AIファーストのビジネスの構築は、クラウド移行戦略から始めます。多くの企業が、AI導入を加速するためにクラウド移行を推進しています。インテリジェントコンテンツ管理などのAI搭載ソリューションにより、チームはワークフローを高速化すると同時に、重要なデータを保護できます。MITテクノロジーレビュー・インサイトとInfosys Cobaltの共同調査によると、経営幹部の71%が、今後2年間でAI向けクラウドインフラ支出が少なくとも25%増加すると予測しています。

AIソリューションをオンプレミス環境で実行することは、技術的には可能です。しかし、最新のスケーラブルなAIツールの大半はクラウドベースです。そのため、従来型システムに依存すると制約が生じます。さらに、オンプレミスでの責任あるAI導入は、クラウドベースのAIと比較してコスト高やイノベーションの遅延を招くおそれがあります。

インテリジェントコンテンツ管理(ICM)プラットフォーム導入のメリットについて詳しくは、こちらをご覧ください。

 

7. コンテンツの断片化の解消

データをクラウドに移行することで、内部か外部か、アクティブかアーカイブを問わず、重要な情報をアクセス可能な場所に一元化できます。このプロセスによりコンテンツの断片化が軽減し、ファイルを探すためだけにシステムを切り替える必要がなくなります。

全てのコンテンツを同一のクラウドストレージプラットフォームで一元管理することで、コンテンツの重複が回避できます。また、文書の分類などの機能を活用し、構造化されたシステムでファイルを整理できるため、時間の節約と、バージョンの競合によるエラーの排除が可能になります。

クラウド上でのファイル管理において重要となる文書のバージョン管理について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
 

従来型インフラは、クラウド移行プロセスにどのような影響を及ぼすか

従来型のインフラは効率性とセキュリティに欠け、データ侵害のリスクをもたらします。攻撃者が旧式のシステムの脆弱性を標的にする方法を見つけた場合でも、多くの場合、ベンダーによる修正パッチの提供がなく、企業は危険に晒されたままの状態になります。従来型の技術は、効率性において最先端のニーズを満たすことが難しく、時間の経過とともに性能が低下するリスクが高まります。

クラウド移行プロセスに影響を及ぼす可能性のある従来型インフラのコンポーネントの例を以下に示します。

  • ソフトウェア
  • サーバー
  • ネットワークファイル共有
  • EFSSツール
  • オンプレミスソフトウェア(例:SharePoint)
  • 従来のクラウドストレージツール(例:Amazon Web Services)
  • 従来型のECMツール

旧式のシステムは相互運用性の問題も引き起こし、クラウドアプリ統合のメリットを享受できなくなるおそれがあります。例えば、ローカルサーバー上でのみ動作する従来型のアプリケーションでは、モバイルデバイスからファイルにアクセスできません。従来型の機器の廃止は、互換性の障壁を取り除き、データやアプリへの容易なアクセスを実現する、クラウド移行の大きなメリットとなり得ます。
 

クラウド移行前に考慮すべきポイント

クラウド移行を検討する際に考慮すべき6つのポイントを以下に示します。

クラウド移行において考慮すべき主なポイント

1. データ移行の複雑さ

データの移動は時間を要します。蓄積された情報量によっては、移行に膨大な時間を要し、導入プロセスに大幅な遅延が生じるおそれがあります。最新のクラウド移行サービスでは、テラバイト規模のデータでもオンラインでのファイル転送が可能です。

 

2. システムの相互依存性と優先度付け

クラウド移行プロセスでは、どのシステムを優先的に移行するか、複数のソースからのコンテンツをどのようにサポートするかを特定するため、優先度付けと慎重な計画が必要です。システム間の連携方法や、業務上最も重要なシステムを把握し、移行中に統合状態が維持されるよう確認する必要があります。

 

3. データの完全性の保証

クラウド移行後は、転送が完全に完了したことを確認する必要があります。最新のプラットフォームでは、バージョン履歴やファイル/フォルダのアクセス権限の移行が可能です。これらの特性を移行後も踏襲することで、データの完全性を維持すると同時に、ユーザーが必要に応じて過去のバージョンにアクセスできるようになります。

 

4. 業務の継続性

不必要なダウンタイムは避けるべきです。しかし、コンテンツ移行計画の実行上のエラーがダウンタイムを招くおそれがあります。重要な業務を継続するための戦略として、週末にコンテンツを移行し、日常業務への影響を避けるという方法があります。

別のコンテンツ移行戦略として、新システムのテストと差分移行の実施が挙げられます。差分移行では、メインの移行の完了後に変更したファイルのみを移行します。一部のツールでは、これらの手順を自動化し、従来型のシステムの廃止と人的ミスの削減を実現しています。

 

5. 効果的な変更管理

変更管理(チェンジマネジメント)の実施とは、クラウド移行をチームが円滑に進められるよう、体系的な計画を策定することを意味します。これには、チームが新システムに早く慣れるためのトレーニングも含まれます。

DX における従業員のトレーニングとスキルアップの重要性について詳しくは、こちらをご覧ください。

 

6. 成功の指標と性能の追跡

コンテンツ移行計画が効果的に実施されていることを確認するには、以下の測定が必要です。

  • 投資利益率(ROI)の確認:ROIを分析し、財務的影響を把握する
  • 主要業績評価指標(KPI)の定義:移行が目標達成にどの程度貢献しているかを反映するKPIを定義する

これらのKPIには、メモリ使用量、エラー率、チェックアウト時間などの具体的な測定値に加えて、ユーザーエクスペリエンスの改善などの主観的な項目も含まれます。

 

オンプレミスからクラウドへの移行の仕組み

コンテンツの移動は必ずしも単純ではありません。クラウド移行に必要な手順を以下に示します。移行の際のチェックリストとしてご活用ください。

 

1. オンプレミスからクラウドへの移行目標の明確化

移行計画を立てるため、まずアプリケーションとデータを徹底的に理解することから始めます。クラウドシステムで改善をめざすKPIやベースラインの性能指標を検討します。これらの数値はシステムの価値の定量化と、将来の意思決定に役立ちます。

従来型のインフラの廃止を含むタイムラインを策定し、確実な期限を設定します。

 

2. コンテンツ移行のロードマップの作成

次に、移行対象となる情報を明確化します。ミッションクリティカルなデータ、移行前に処理が必要なデータ、クラウド移行プロセス中に問題を引き起こすリスクのある相互依存関係に注意を払います。その後、ビジネスの要件と目標に最も合致する構成(パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド、インフラの組み合わせ)を選択します。

この段階でステークホルダーの支持を得ることも重要です。新ソリューションを利用する全ての部門やチームの合意形成を確実に行います。各部門がクラウド移行の枠組みに賛同することで、円滑な移行の可能性が高まり、懸念事項を早期に解決できます。

エンタープライズコンテンツ管理ツール導入について経営陣の賛同を得る方法について詳しくは、こちらをご覧ください。

 

3. データ保護戦略の構築

クラウドにおけるサイバーセキュリティの大部分は、豊富な専門知識でサーバーを管理するサービスプロバイダに委ねられています。しかし、ファイルの暗号化やアクセス管理などの制御を実装することで、自社でも対策が可能です。クラウド移行サービスプロバイダと連携し、実施すべきセキュリティ対策を決定し、ベストプラクティスに基づいた戦略を構築します。

注意すべき主要なクラウドセキュリティの脅威について詳しくは、こちらをご覧ください。

 

4. クラウド移行の実行

デジタル資産の移行を支援する市場で入手可能なツールを検討します。最先端のソリューションは、データを自動的にコピー・移動し、チームの手間を最小限に抑え、移行プロセスを効率化します。

 

5. クラウド環境の評価と最適化

クラウド移行の最終段階では、移行の影響を評価します。移行後のクラウド環境を検証・調整し、正常動作を確認するとともに、チームの生産性やコスト削減などのKPIを評価します。

移行プロセスにおいて、クラウド移行サービスは大きな強みとなり得ます。専門知識とコンサルティングサービスは、一般的な互換性問題の解決に役立ちます。

 

クラウド移行戦略の選択

ビジネス上のニーズ、予算、アプリケーション統合のレベルに応じて、リホスティング、リプラットフォーム、リファクタリング、アプリケーションの廃止など、異なる種類のクラウド移行戦略から選択します。

移行の方法は企業ごとに異なります。一般的なクラウド移行戦略の比較表を以下に示します。どの戦略が自社に適しているかの判断が難しい場合に参考にしていただけます。

クラウド移行戦略の種類

概要

適用するケース

リホスティング

「リフト・アンド・シフト」とも呼ばれ、データを一切変更せずにソースシステムからクラウドへ移行する手法

  • 最小限の変更でコスト効率の高いクラウド移行が必要な場合
  • 厳格な規制下にある組織で迅速な移行が必要な場合

リプラットフォーム

「移動と改善」とも呼ばれ、移行中に最適化を一部実施するクラウド移行戦略

  • 実装後の追加作業を回避し、迅速な変更による最適化を実現したい場合

リファクタリング

クラウドネイティブなシステム向けにアプリケーション全体をゼロから再構築するため、「リップ・アンド・リプレイス」とも呼ばれる手法

  • 大規模ビジネス向けの包括的な手法が必要な場合

段階的な廃止

必要に応じて古いシステムを段階的に廃止(まずシンプルなツールから始めて、データをクラウドに移行した後に、次のシステムを移行する)

  • 維持コストが高すぎる、または、サポートが終了した旧式のシステムを運用している場合

Box Shuttleで強力なクラウド移行戦略を構築

ここまでで、クラウド移行の全容を説明しました。次に、移行プロセスを簡素化するツールをご紹介します。Boxは、インテリジェントコンテンツ管理(ICM)のリーダーであり、クラウド上でデータのライフサイクル全体を作成・保存・共有・管理できる単一のセキュアなプラットフォームを提供します。

従来型のシステムにファイルが残っている場合でも、Box Shuttleのようなソリューションが容易な移行を可能にします。移行のペースと範囲を制御できるフルサービスのコンテンツ移行ツールです。 

Boxが提供するメリットの一部をご紹介します。

  • オンプレミスとクラウドの両ツールを統合(ファイルサーバー、Microsoft OneDrive、SharePoint、Google Driveその他)
  • データ量を問わず移行(さらに、特定ファイルの除外やバージョン管理など、カスタマイズ可能な設定が可能)
  • ソースファイルの内容の分析機能が、クラウド移行計画を支援
  • Boxの移行スペシャリストとの連携により、カスタマイズされたクラウド移行フレームワークを構築

Boxを活用するクラウド移行についてのご相談・お問い合わせを承っております。こちらのページから是非ご連絡ください!

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